バカ侍:沖本碧邦

沖本碧邦について。

まず、「自分に挑戦したい」みたいなところがあって。
「こういうバカをしてみたいな」という“壁”があって、でも「ちょっと怖いな」と思いながらも、その“壁”を「パーーーンッ!!!」と乗り越える。「パーーーンッ!!!」っていくとき、やっぱり快感がありますよ。

 

 豪快なジェスチャーで、“壁”を壊すときの快感を語ってくれたのは沖本碧邦さん。通称、バカ侍。バカ動画を作ってyoutubeにアップしながらも、イベントでMCやネタをやったりと、お笑い芸人としての活動もしている。そのバカ侍の名に恥じぬ破天荒っぷりは、土下座で画鋲ヘッドバッドをして流血沙汰になり、便器にお味噌汁とかして飲んで、高尾山を匍匐前進で登り切るなど数々の偉業(奇業?)を残してきた。そのアウトローな過激さは、時に理解を得られない。しかし、それが彼にとっての“笑い”であり、彼の個性だ。

 一方で、クスっと笑えるようなシュールなギャグも意外と多かったり、「絵」や「書道」も表現のひとつとして行なっていたりと、多才な一面もかいま見える。彼の「ポップでシュールでグロテスクな絵」には混沌とした世界が力強く広がっていて、書道作品からは絵に負けず劣らずの熱量と流れるような動きが伝わってくる。彼の魅力のひとつは、大胆さの中にも感じられる繊細さだ。

 ある飲み会の場で偶然出会い、僕が(一方的に)惚れ込んで、後日インタビューをさせてもらった。以下は、そのときに根掘り葉掘りと質問をした会話の一部始終である。彼の個性に触れる一助になればと思っています。

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片山(以下、K):この前の飲み会でもそういう話があったけど、注目されるのが好き?ツッコミを受けるのが好き?

沖本(以下、O):あ、好きです。快感です。

K:自分にとって「このバカをやったらおもしろいだろうなー」っていうイメージがあって、それに対する周囲からのリアクションがあるから嬉しい?無人島でもバカをやる?

O:あー、それはどうなんですかね。リアクションもひとつの“壁”なんですよ。

K:リアクションも“壁”というと?

O:まず、「自分に挑戦したい」みたいなところがあって。「こういうバカをしてみたいなー」という“壁”があって、「でも、ちょっと怖いな」と思いながらも、その“壁”を「パーーーンッ!!!」と乗り越える。「パーーーンッ!!!」っていくとき、やっぱり快感がありますよ。でも、周りのリアクションも想像し過ぎると“壁”になるというか、他人のリアクションが「ちょっと怖いな」って思う自分もいるんですけど、「その“壁”も乗り越えてぇぞ」って。

K:じゃあ、「これ絶対おもしろいバカだわ」って自分で思えて、そこで周囲のリアクションという“壁”も壊せたら最高?

O:そうそう。でも、“壁”を壊そうとするときに「ちょ、やっぱり怖い!」ってなっちゃうときもある。「怖い」っていう感情でもあり、興奮するような感情でもあり、緊張感でもあり、それが“壁”みたいなもので。

K:「これはバカだな」っていう基準は自分の中であるの?

O:ありますね。ふと思いつく感じの。過去にバカだと言われたモノを見て、「ああ、こういうもんなんだなあ」と。youtubeとかにおバカな映像があるじゃないですか。フラッシュモブとか『ジャッカス』とか。『ジャッカス』はアメリカのおバカ番組なんですけど。そういうのに憧れたりはする。
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きれいにまとまっているので、映画『ジャッカス』シリーズの予告を。

 今まで『ジャッカス』という番組を知らなかったので、インタビュー後に調べてみたのだけど、その映像を見て「ああ、そういうことか」とすごく納得感があった。碧邦さんが目指している「理想のバカ」がめちゃくちゃ伝わってくる。こういう笑いが好きなんだなって。

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K:書道はいつ頃からやっているの?

O:小学校1年生から大学2年生ぐらいまでだから14年ほど。唯一続けましたね。ほんまに嫌だったことありますよ。「なんかもう行きたくない」って、駄々こねたこともありました。でも、それを乗り越えて、中学2年生ぐらいのとき「あ、おもろい」って思い始めた。それまでは全然おもしろくなかったです。でも途中で、習字をやらないと「気持ち悪い」ってなってきちゃって。

K:理想としている字のイメージがあるんだよね?

O:理想の字は、すっきりするやつです。歯磨きで言うと、「磨き残しがない」みたいな。習字をやっているといつも「ここまで磨いてるのになんかちょっと磨き足りない」みたいな気持ち悪さがあるんです。

K:理想の字というのは、書道として「これがいい!」というルールがあるの?それとも自分にとっての理想の字があるの?

O:書道に関しては「これがいい!」というルールはないと思いますね。俺がやっていたのは習字で、臨書っていうのがあるんですよ。他人の書いた字をなるべく忠実に書くっていう作業で、それをずっとやっていた。手本の人の感情や癖があるんで、「どこまでその人の気持ちになれるか?」ということ。

K:習字は、まず見本があって、それに「どれだけ近づけられるか?」という技術を磨く職人みたいなモノ?

O:そうそう。「自由に書きますよ!」っていう書道は、やっぱり自分を出し切った方が嬉しい。俺はずっと習字をやってきたんで、その経験の中で共通している理想の字は絶対あると思います。そこに俺をプラスで乗せるんですけど、その乗せ方がずれてると「気持ち悪い!」ってなります。自分のオリジナルを盛り込み過ぎても字がめちゃくちゃになるじゃないですか。それもそれで気持ち悪い。崩し過ぎず、でも自分を出すことができたら、「書けたな」という嬉しさが大きい。

 

『碧邦さんの書道作品』

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 ひとつ想像をさせていただくと、子どもの頃からずっと続けてきた「習字」が、碧邦さんの快感原則を形作ったのではないかと思う。ふと思い浮かんだイメージを、達成できないときの「気持ち悪さ」。そして、ふと思い浮かぶイメージにはきっと見本がある。このあとのインタビューにも出てくる「絵」と「笑い」にも共通して、「磨き残しの気持ち悪さ」という“感覚”が潜んでいる。
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K:絵を描き始めたのはいつから?

O:小学生のときはポケモンの模写をやってましたけど、中学生のときから好きな(オリジナルの)絵を描き始めました。初めて絵を描いたとき、それを(友達に)見せたら「気持ち悪い!」って言われたのが、ちょっと…快感でした(笑)エログロな絵をめっちゃ書きますね。

K:絵を描くときは「これを描こう!」っていう全体のイメージがあるの?それとも、とりあえず描き始める?

O:まず、なんか描きます。とりあえず、なんか描いて、とりあえずまたなんか描くんです。書道と一緒で、それも気持ち悪さとの闘いというか、違和感との闘いというか。絵によって違うんですけど、なんか闘ってますね。最初に「バッ!」って出てきたイメージから始めて、とりあえずとりあえず描くっていうのもあるし、最初からとりあえずとりあえずというのもある。

K:とりあえずだけど、そこで上手くいかないと違和感があるんだ?

O:自分ルールみたいなのが多少なりともあると思いますね。ここをこうしたらなんか気持ち悪いみたいな。それをまた「ドーーーーンッ!!!」とぶっ壊したい。「このまんま、同じことをしていてもだめだ!あかん!」と。もう、自分ワールドです。そこでちょっと変えたモノを描いている自分もいますね。楽しんでいるようで苦しんでいるようで。そこにも壁があるんですよ、きっと。

K:絵でも「乗り越えた」と感じるときがある?

O:描いてる途中でありますね。「これはあかん!………ドーーーーンッ!!!」っていう瞬間が一番いいっすね。「この絵はあかん。この流れはあかん。どこかで潰したろう」って。

K:好きな画家はいる?「この絵が好き!」とか。

O:会田誠さんとか岡本太郎さんとかは好きです。(具体的に)どの絵が好きっていうのはあんまりないんですけど、考え方とかですね。youtubeで語っている動画を見たりして、それで、「ああ、それわかるわ」って思うときがあった。自分もエログロを描いていたので、会田誠さんを見つけたときはテンション上がりましたね。「うわ、こんな人いるんだ」って。めちゃくちゃすごいじゃないですか。めちゃくちゃ細かいですし。自分じゃできないことがたくさんあるので、「すごいなー」と。あの脱力感もいいじゃないですか。会田さんの。あの自由な感じの、むっちゃ好きなんです。

 

『碧邦さんの絵作品』

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↑ いとこさんとの合作らしい。
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K:お笑いを意識し始めたのはいつから?

O:小学生ぐらいから。笑い取りたがりでしたね。むちゃくちゃ目立ってはなかったと思いますけど、要所要所で取りたいなって。「笑かしてやろう」っていう気持ちもありますし、「これが自分だ!」という個性を作る上で、その自己表現のひとつとしてお笑いがありました。

K:個性?

O:目立ちたいがゆえの、他人とちょっとズレたことをしたいという欲求がけっこう強くて。時期によって波はありますけど。高校生のときはそれが露骨にありましたね。必死でした(笑)高校のときは「おまえ、おもしろいな!」って思われたくて、言われたくて、ちょっと努力しました(笑)

K:努力したんだ(笑)具体的にどういう努力をしたの?

O:youtubeのお笑いの映像を見て、ノートに書いて。

K:それは芸人さんたちのネタを?

O:そうそう。自分は特定の芸人さんばっかりでしたけど。野性爆弾さんとか。特に、野性爆弾の川島さんなんですけど、ほんまに自由にやってる感じで「自分に似ているなあ」って思ったんですよね。自分のやっていることを極めたら、あんな感じに、川島さんみたいになるのかなって。

K:理想の笑いが、野性爆弾の川島さんという方で、それは今も変わらない?

O:うーん。今は芸人もやってますし、「ちょっと超えたいな」っていう想いが(笑)だから、やっぱり自分のオリジナルを作りたい。「川島さんみたいだね」って言われるのは嫌なので。あとは、天竺鼠の川原さんも。このお二方は特に見てました。自分がおもしろいと思ったところはぜんぶメモって、 高校生のときはそれをけっこうそのまんま使ってました。最近はそれを応用するようにしてるんですけど。

ちなみに野性爆弾さんたちのネタ動画はこちら↑

 

K:アウトローな笑いだよね。ただ、世間の目が怖かったりもするんでしょ?

O:世間の目というよりは、「罵倒されるんじゃないか?」っていう想像が膨らむ。それが怖い。女の子に告白しようとするとき、「フラれるんじゃないか?」という想像が膨らむけど、そういう感覚なんですかね。

K:なのに、「アウトローでいたい」っていうのは難しいところだよね。

O:そうなんですけど、それで引きこもってた時期もあったんですよ。なかなか外に出られない。もうぜんぶが嫌になって。

K:なにが嫌になる?

O:ひとつひとつのことにすごく考え出しちゃうんです。外に一歩出るにしてもなんか色々と考えてしまう。例えば、「歯磨きしなきゃしなきゃ」って思うと、 「歯磨きってなんだろう?」って考える。「告白しなきゃしなきゃ」って思うと、なんか(想像が)膨れ上がっていくじゃないですか。「そこにいる女の子に声をかけたいなー」と思っても、それで声をかけられなかったら負け癖がついたりとかして、細かいところを見たらいっぱいありますね。どっかで引っかかってますね。

K:それが積み重なって引きこもった?

O:そうですそうです。それの積み重ねで、膨らんで、引きこもるっていうことになるんです。

K:たしかに、「声をかけたいけど声かけられない」という小さなところまで積み重なっちゃったら、自信なくすし引きこもった方が楽なのかなって思った。

O:そこで前に出れない自分にすがりたくなってきて、前にいけない方向にどんどん進んでいって、負け癖みたいなモノがついてきて。それがどんどんたまると動けなくなる。当たり前にやってきたことができなくなる。それでも「やんなきゃやんなきゃ」っていう気持ちはあるんですけど、身体が動かなくて。壁みたいなのがどんどん分厚くなってきて、いつの間にか外にもいけず、パソコンをいじってる。そのうち、パソコンいじるのも嫌になって、健康的なんですけど、ずっ と寝たきりになって。親もやっぱり心配するじゃないですか。それもそれで、重荷で「うわー!」ってなってたときがあるんすよ。

K:それはいつごろ?

O:あ、ちょうどこの絵を描いていたときです。これを描いているときがピークでした。引きこもってたときなので、絵が暗いと思います。(真ん中あたりに)目があるじゃないですか。これが自分なんですよ。あと、口があって。で、周りのやつが世間の目なんですけど。

 

599108_341757762602258_2087485510_n【碧邦さんが引きこもってるときに描いた絵。

真ん中の目が碧邦さんで、他人の目(左側)と鉄のような社会(右側)に押し潰されている。】

 

K:押しつぶされてる感じですね。そうなると、周りにいる人の顔みたいなのがすごく残酷に見える。かわいくてお茶目な感じなのに。

O:そういう感じも出したいっていう葛藤もあるんですよね。だからなんかこう、「新しい刺激と向き合っていかないと自分が崩れていくなあ」って思って、たとえば絵を描くことで、ひとつひとつのことに嫌でも向き合う。壁を作りまくってると、押しつぶされそうになる。でも、向き合うことで自分がすごくスッキリして、エネルギッシュになっていけるじゃないですか。他人からの期待も「応えなきゃ応えなきゃ」って思うほど空回りするけど、でも実際に応えてみて、 「パーーーンッ!!!」ってしたら肩の荷が軽くなる。時の流れが経てば経つほど、重くなってくるんで、自分の中で処理しなきゃいけない。でも、そういうのってすぐ来るから、「ポン!ポン!ポン!」って壊していかないとつらいっすね。それができているときは調子いいですね。新しいことにどんどん挑戦していけます。

K:調子いいときはビビる期間が短い?

O:あ、そうですね。今は即決。自分の中でパッパッと動けてるなあっていうのがある。あんまり躊躇してない。

K:それはいいことなのか、悪いことなのか。

O:どっちもじゃないですか。どうしてもどっちも出てきますよ。何をやっていても。どうしても出てくる。やっぱり引きこもっていないと、(高尾山を)匍匐前進したときみたいな爆発力は出てこないです。

K:え、じゃあ今って、逆にいうと、自分のなかで「しょぼいなー」って思ったりするの?

O:思いますね。時々、思います。

K:へー。調子いいけど、しょぼいんだ。

O:なんかこう、なんでしょうね。こう、波が弱いというか。たしかに安定して撮れているというか、「ストレスのない生活は送れているのかな?」って思うんですけど、その匍匐前進のときに感じていたようなワクワクだったりとか、「うらぁ!!生きてるぞ!!」っていう感じではあまりなくて。だから、どっちかなんですよね、ほんまに。どっちを取るかっていうのは常にあります。

K:エネルギーを貯めないとほんとうに爆発したモノはできない?

O:安定していると、めちゃくちゃエネルギッシュなことはできないですね。

K:「じゃあ、引きこもった方がいいね」って話になっちゃうんだけど(笑)
引きこもっているときは、絵のほかにあとは何をしていたの?

O:あとは、youtubeでバカ動画を見てました。自分が感じている重荷から逃げるような感覚もあって、しがみつくように見るんですよ。「新しいのくれ!」って。麻薬みたいな感じです。

K:それは「笑ってテンションを上げたい」ってこと?

O:忘れたいんです。笑いたいっていう気持ちもありますけど、ちょっと一瞬だけでも忘れられるじゃないですか。長い目でみたら、効果的じゃないですけど。 でも、それも嫌になって途中からはベッドで寝てましたね。パソコンってSNSも見ることができるので、まわりの情報が入ってくるから、それもちょっと嫌なんで、観たくないときもありました。

K:何もせずにベッドにずっといると、色々と考えちゃうよね?

O:だから、寝ようとするんですよ。寝るのが一番忘れられるじゃないですか。寝ることで忘れようとするんですけど、どんどん気力がなくなってきて。「どうやって回復したのか?」というのは覚えてないんですけど、そこでひとつひとつの小さな壁を乗り越えたんですよね。「まずはパソコンを開こう」って。「俺イケる!俺最高!」ってテンション上がるときもあるんですけど、そういうときはすぐ疲れてすぐ戻るっていうのを繰り返してました。

K:引きこもっていて、「このままだとアカン」って思うのはやっぱり焦りとかあったの?

O:自分に対して申し訳ないっていう気持ちが強くて。すごく情けない気持ちとか、ほんまに何してんのやろっていう気持ちとか。俺はもうこんなに迷惑かけたし、言い訳してる自分がむかつくし、「もっといけるだろう、もっといかなきゃ!」とか、自分をもっと痛めつけるように、自分の気持ちを引き締めたかった。 高尾山を匍匐前進で登るときもそうなんですよ。けっこう上がったり下がったりしているピークのときで、「このままだとあかんわあかんわ」って思って、匍匐前進したんですよ。「高尾山だけは絶対に登ったろう」っていうのがあったんで、自分の中で意志が強かったんで、外に出て、そっちにしがみつく感じだった。「日常に戻したらあかん」と思って、なんかもういろんな申し訳ない気持ちとかいっぱいあったんですよ。

K:それはかっこいいな。そういう強い気持ちだったんだ。

O:なんか自分で言うのも恥ずかしいですけど(笑)

K:最初のコンセプトは、「匍匐前進で高尾山を登る」っていうところまで?

O:そう。

K:あれ、ラストが素晴らしすぎるでしょ?あのオチ。あれは山頂に到着するのがたまたま夜だったの?それとも狙ってやった?

O:狙ってない狙ってない。だから、ほんまにわけわからん感じの状態で、わけわからん感じで涙出て。

K:そうそう。しかも、夜で、灯りが付いている街があって、そもそもの設定が大戦中の日本兵が高尾山を登るってことで、街の灯りを見て、戦争が終わったことを実感するというラスト。あれがアドリブってこと?

O:そうそう、カメラマンが「何か言ってくれ」って言うから、それで言ったわけです。登ったときの気持ちとか色々と混ざった感じですかね。

K:あれはウケ狙い?

O:どうなんすかね?笑ってほしいっていう気持ちがけっこう強いんですけど、でも感動してたんで。

K:あの動画は魂の一発で、けっこう感動的だけど、やっぱり笑ってほしい?

O:壁を乗り越えたところを見せつけたかったんですかね。俺がyoutubeを見てて、バカ動画とかですけど、それで「この人たちはこんだけアホなことして、でもこんだけ平然としている」と思ったら、自分の悩みが小さく見えたりして。「じゃあ、俺もいけるやん」とか「そんな大した壁じゃないじゃん」って心の助けになったので、自分がバカ動画を見て感じたことと同じ感覚を与えたい。そういうリアクションほしいっす。あと、でも、やっぱり笑いもほしいっす (笑)「おもろい!やばい!」とか言われたいです。言われたいですし、綺麗事ですけど、勇気を与えたいっていうのもありますね。真面目なとこ語るとバカ侍らしくないんで、あれなんですけど(笑)

 

これが渾身のバカ→『「THE 匍匐前進だけ。」 in 高尾山』

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【編集後記・雑感】

 「『ジャッカス』&野性爆弾の川島さんのようなバカ」と「磨き残しが気持ち悪い」という2つのフレーズがすごく大事なのかも、と思った。碧邦さんをインタビューさせてもらってすごく感じたのは、人間味あふれる素敵な方だな、と。まず、自分では変えることのできない“おもしろいモノ”があって、それが社会とぶつかって、もがき苦しんでいる。ぶっ飛んだ“バカ”が好きなのはもうこればっかりは仕方がない。理解されないときもある。じゃあ、その大好きなアウトローな笑いで、社会を笑かすにはどうすりゃいいのか?という試行錯誤。「妥協点はどこか?それとも力でねじ伏せるか?」という、そういった試行錯誤こそが美しいし、その葛藤ともいえる感情は人間らしさのひとつでもある。
 碧邦さんを複雑にしているのはもうひとつ「磨き残しという感覚」だと想像する。アイデアやセンスが生まれるきっかけは経験だ。『ジャッカス』や野性爆弾の川島さんの動画を熱心に見ることで、アウトローな笑いを“経験”した碧邦さんは、ふとした瞬間に「これやったらおもろいだろうな」というアイデアが思い付くのではないか。そのアイデアは習字で言うところの見本であり、その思い付いたアイデアを達成しないことは「磨き残し」となって「気持ち悪さ」が残る。日常生活において、もしも「これやったらおもろい」が思い浮かんでしまったら。それが『ジャッカス』や野性爆弾の川島さんのようなアウトローなぶっ飛んだ“バカ”だとしたら。そして、社会のリアクションという“壁”に恐怖を感じる性格だとしたら。でも、それを実現しないことは「磨き残し」であり、「気持ち悪さ」に繋がる。すべては仮説でしかないけれど、その「気持ち悪さ」の積み重ねとして、引きこもるという選択肢があったのかもしれない。そんな恐怖との闘いの中で、そいつをぶち壊すために必要だったモノは「自分にとって最高におもしろい」と信じることができるモノであり、それが『高尾山を匍匐前進で登る』だった。
 信じることができるモノは、人それぞれです。そして、それが爆発したとき、たとえば『高尾山を匍匐前進で登る』という作品が生まれる。これほど美しいことはない。あまり美化し過ぎると、バカ侍っぽくなくてちょっと問題アリな気もしますが(笑)でも、ただ単純に、彼がバカをやってるのを見て、どんどんと(危険な方向へ)頑張っている姿を見て、彼にとって「最高だと思うモノ」をひたすら破壊し突破していく姿を見て、それを何かの力に変えてくれたらと思っています。それが笑いという快感なのか、勇気というきっかけなのか、はたまた別の何かなのか。それはきっとそれぞれの個性によって違ってくる。

 …それほど決死の覚悟で実行した『高尾山を匍匐前進で登る』なのだけど、「けっこう時間経ってるのにいまだに匍匐前進を越えてない自分がちょっとむかつ く」らしい(笑)他人からも過去の自分からも常にアウトローでいたいという気持ちは、彼の「宇宙に第二ビックバンを起こすバカ」という言葉によく現れている。そんなバカ侍に立ち塞がる次なる“壁”は、こちら↓。

 

『つばもん〜あなたのツバを下さい〜 “めざせ!つばもんマスター!』

 「道行く人からツバをもらう」というすごくシンプルだけど、それって道端で話しかけられても絶対についていっちゃいけないってお母さんに言われるタイプなわけで、けっこうギリギリなラインを攻めてます。

 

 そして、もうひとつ。『SUCKERS / サッカーズ』というドラマにも不良役のおバカ役で出演中!個人撮影の動画コンテンツが盛り上がりを見せる中で、数人の仲間で集まってしっかりと台本から撮影、編集までやっている本格的な映像作品。
『SUCKERS / サッカーズ』〜change the future!!〜

七人の高校生が、動画で未来を変える!?

監修 : Studio H&M’S
協力 : HUNEY SOCCER、ラフハウス、時事ジュースZ、バカ侍s
撮影 : Kosei Yanagihara(DHU)